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さて、その頃のスセリヒメ。
オオナムチもあの火責めではさすがに死んでしまったと思っていた。
スセリヒメ「しくしく。しくしく・・・せめて私が心を込めてお葬式をしましょう」
スサノオ「うむ・・・奴も死んだとなれば弔ってやろうか。この程度の男だったということであきらめなさい、スセリヒメ」
2人は野原にやってきた。すると・・・。
オオナムチ「あっ!おおーい!スセリヒメ!お義父さん!」
元気にオオナムチが出迎えた。
スセリヒメ&スサノオ「☆○×△*!!??」
スサノオは「お義父さん」呼ばわりされたことにも気付かず、口をあんぐりと開けた。
オオナムチ「矢を見つけました。どうぞ」
・・・と矢まで返されて、スサノオはまたまた策略が失敗したことを悟った。
スサノオ「いやいやいや・・・参ったね君には。大したもんだ。どうだ、部屋で一杯飲もうじゃないか」
オオナムチは、スサノオが許してくれたと思い、喜んでついて行った。
スサノオ「ところで、オレはちょっと頭が痒い。シラミ取ってくれないか」
オオナムチ「えー、何日お風呂に入ってないんですかあ?」
スサノオ「やるのか、やんねえのか?」
オオナムチ「やります・・・」
スサノオの髪をかき分けてみると、そこにはムカデがうようよとうごめいていた。スサノオはシラミを取らせるフリをして、ムカデの毒でオオナムチを殺そうと企んでいたのだ。
オオナムチ「うわあ、シラミが成長しすぎですよう!これは年単位でお風呂入ってないでしょう?」
スサノオ「お前、天然か・・・(呆)」
オオナムチがムカデをでっかいシラミだと思って、噛み砕くために口に入れようとした。
焦ったのはスセリヒメである。
スセリヒメ「ちょ、ちょっと待って(焦)」
こっそりとオオナムチに話しかけた。
スセリヒメ「ダメです、そんなものお口に入れては!代わりにこの椋の木の実と赤土を口に入れて、吐き出してください」
オオナムチが言われた通りにすると、ちょうどスサノオからはオオナムチが実際にムカデを噛み砕いて吐き出しているように見えた。
スサノオは驚いた。あれだけひどい目に遭わせたのに、オオナムチは疑いもせず素直にスサノオの言うことを聞いている。
スサノオ「・・・・・・悪かったな。お前にそんな甲斐性があるとは・・・・・・」
さすがのスサノオも敗北を感じた。
そして、気を許してうっかりと本気で寝込んでしまった。 |
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オオナムチ「・・・・・・あれ?もしもしお義父さん?寝ちゃったんですかあ?」
ゆさゆさとオオナムチはスサノオの体を揺すってみたが、反応はなかった。
オオナムチは、天然なところもあるが、やるときはやる男である。
オオナムチ「よっしゃ、今のうち!スセリヒメと駆け落ちだっ!」
逃げる途中でスサノオが起きたら大変なので、オオナムチはスサノオの髪の毛を編んで、柱に結び付けた。扉の前には大岩を置いた。
オオナムチ「よし、これで起きてもすぐには追って来れないぞ。さあ、逃げようスセリヒメ。おぶってあげるから」
逃げるついでに、オオナムチはスサノオが大事にしている生太刀と生弓矢と琴を持ち出した。
しばらく逃げたころ。
慌てていたので、オオナムチはうっかり琴を木にひっかけてしまった。
ポロポロリーーーン♪♪♪
オオナムチ「うわっ!音鳴っちゃったあ!」
スセリヒメ「・・・・・・(呆)」
オオナムチ「どうしよう、お義父さんが起きたかなあ!?」
スセリヒメ「だとしても、すぐには来ないはずです!今のうちに行きましょう!ほれっ!どーどー!」
オオナムチ「馬じゃないんだよね、僕・・・」
2人の心配した通り、琴の音でスサノオは目を覚ましていた。
スサノオ「ななな、何だ!?」
オオナムチとスセリヒメの姿がない。スサノオはすぐに、駆け落ちされたと悟った。
スサノオ「あ・・・っんの野郎〜〜〜〜!!(怒)」
怒ったスサノオが、とりゃーっと立ち上がる。
すると、髪の毛がつながれた柱は倒れ、屋敷は崩壊!
屋敷が欠陥住宅だったのか、スサノオの髪の毛が剛毛すぎたのか。
だが、その頃にはオオナムチとスセリヒメはかなり遠くまで逃げてしまっていた。 |
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娘を取られてなるものか、とスサノオは2人を追って黄泉比良坂までやってきた。
ここは根の国と地上との境界線。かつてイザナギとイザナミが盛大に夫婦ゲンカをやった、例の坂だ。
スサノオ「げっ!もうあんなに遠くに行ってやがる」
オオナムチとスセリヒメは、とっくに地上に出ていた。
オオナムチの背中を見て、スサノオは思った。
初めてオオナムチを見たときは、軟弱な若造にしか見えなかったけれど・・・意外にたくましい奴なのかもしれないな、と。
どんな罠をしかけても音を上げなかったし、むしろギャフンと言わされたのはスサノオの方だ。
スサノオ「おい、オオナムチ」
スサノオは呼びかけた。
オオナムチ「うわあっ!もう追いついて来ちゃったんですか!足速すぎですよ〜」
スセリヒメ「・・・・・・」
スサノオ「・・・・・・」
そんな問題じゃねえだろ!と突っ込みたいのは我慢して、スサノオは言った。
スサノオ「もう逃げるのはよせ」
スセリヒメ「えっ?じゃあお父様・・・!」
スサノオ「いいかオオナムチ、出雲に戻ったら、その生太刀と生弓矢で性根の腐った兄貴どもを追い払え」
オオナムチ「・・・・・・性根の腐った、って・・・・・・まあ、確かにそうですけど」
スサノオ「徹底的に叩いておけ。そいつらを降伏させたら、お前は地上の神の主となる。名をオオクニヌシと改めよ。そして・・・・・・わが娘、スセリヒメを妻とし、宇迦(うか)の山に宮殿を建てること。屋根には高天原に届くくらいの大きな柱をそびえさせろ。わかったな」
とうとう結婚の許しが出たのだ。
オオナムチ、いやオオクニヌシは喜んだ。
オオクニヌシ「ありがとうございます、お義父さん!」
2人は仲良く手をつないで、新たな一歩を踏み出した。
それを見送るスサノオが、娘が嫁ぐ寂しさに泣いた・・・・・・かどうかは定かではない。 |
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出雲の国に帰ってきたオオクニヌシ。
出雲には、「性根の腐った」兄神たちがまだオオクニヌシを妬みながら生活していた。また昔のようにオオクニヌシをギャフンと言わせてやろうと画策している。
ところが、帰ってきたオオクニヌシはとっても立派でかっこよい若者に成長していた。
さらに妬んだ兄神たちが、やぶれかぶれで襲う!
オオクニヌシ「もう・・・いい加減にしてくださいよ。いい年してえ・・・」
オオクニヌシは自信タップリ。それもそのはず。だって、スサノオの与えた試練のほうがよっぽど苦しかったのだから。
そんなオオクニヌシに、兄神たちはけちょんけちょんにやられた。
兄神たち「ひいいいい〜ゴメンナサイゴメンナサイ!」
ようやく負けを認めた兄神たちに、オオクニヌシは言った。
オオクニヌシ「あなたがたはいかに性根が腐っていようとも私の兄弟です。だから赦してあげますよ。本来の持ち場に戻って、適当に神様生活してくださいよ、お願いですから」
兄神たちは本来の持ち場である山や川に引っ込むことにした。
こうしてオオクニヌシは、地上の主として国作りという大事業に手をつけることになる。 |
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オオクニヌシは、スセリヒメとアツアツかと思いきや、ちゃっかり以前に婚約していた因幡のヤガミヒメとも結婚したいと言い出した。
ヤガミヒメを出雲に連れてきてしまって、さあ大変!!
スセリヒメ「あああああ〜〜〜な〜〜〜たあああああ!(怒)」
優しいはずのスセリヒメが、激怒!!
スセリヒメ「私という妻がありながら他の女を連れ込むたあ、いい度胸じゃねえか、え!?」
オオクニヌシ「なんかガラが悪くなってるよスセリヒメ!」
スセリヒメ「何だって!?」
オオクニヌシ「いえ、何でもアリマセン」
恐怖を感じたのはオオクニヌシだけではない。
ヤガミヒメ「あ、あのう」
スセリヒメ「何!?」
ヤガミヒメ「私、里に帰りますう!(怯)」
スセリヒメ「・・・・・・え?あらそう。あっさりしてるわね」
ヤガミヒメ「だって、ここにいたら命の危険を感じますから」
スセリヒメ「・・・・・・!(怒)」
ヤガミヒメ「じゃ、さよならっっ」
ヤガミヒメはオオクニヌシとの間にできた子を木の割れ目に挟んで、因幡に帰ってしまった。
だからその子の名はキノマタノカミになった。 |
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